浪 漫 書 簡

昼寝とロックンロール

2016/05/14

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いい1日だった。洗濯物を取り込もうかと考えた末、結局取り込まないことにし、昼過ぎに家を出た。吉野家で330円の豚丼を食べ、山手線に乗って上野へ。山手線にはお年寄り夫婦がいて、2人は小声で話しながらクスクスと笑っていた。見ていると、嬉しくなったと同時に、東京は寂しいなあとどこにも着地しないモヤモヤが湧いた。

上野に着くと、喫煙所で一服してからGoogleでお目当のカフェを調べるが、速度制限のせいでなかなか出てこない。スタバの近くに行ってWiFiを拾おうとおぞましいことを思ったけど、もちろん不可能だった。4分くらいして、やっと表示された。上野公園を横目に大通りをしばらく歩き、細い路地へ入ると田舎者には巨大すぎる圧、鬱陶しい喧騒からするすると解放された。お年寄りや、お母さんと並んで自転車に乗ってる子どもとすれ違い、毎日通ってる渋谷の街が、哀しさとセットで頭に浮かぶ。
Googleマップが示した道順とはすこし外れた道を歩き、結局40分くらいかけて歩いたか。やっぱりGoogle先生の言うことはちゃんと聞くべき。去年の隅田川の花火大会を頭に思い浮かべながら浅草橋付近を歩いてるとようやくカフェに着いた。
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細い路地に入るとすぐにあった。店内は、Googleの写真からは伝わってこない狭さで一瞬戸惑ったが、店長さんと思しき方が「いらっしゃいませ」と挨拶をくれ、緊張が解けたのか、普段は座ろうとしないカウンター席に座った。
 
「どんなコーヒーが好きですか?」
コーヒーなんて「黒くてシロップ入れれば甘くなるやつ」程度にしか捉えてない自分は「酸っぱくないやつですかね」と引きつった笑顔で比較的美人のバリスタになんとか応対した。
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「ここは、コーヒー好きの人がたくさん来る場所なのかな?」と、聞いたことのない名前のコーヒー豆を買って帰るたくさんのお客さんを見ながら終始緊張していた。
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5分ほどすると、「酸っぱくない」コーヒーが出てきた。熱すぎるのは飲めないためしばらく待って飲んでみると、ほんとに、初めて「コーヒーが、美味い」と感じた。スタバかドトールのコーヒーくらいしか飲まない自分にとっては、本当に美味しいと思えた。池袋の有名なコーヒー屋さんにも行くけど、蔵前のここは本当に違う。甘くもないんだけど、甘い。何を言ってるのやら。こんなにも穏やかな蔵前のコーヒー屋さんには、似ても似つかない漫画「キングダム」を読みながら、大事に大事にコーヒーを啜り、2時間くらいの時間を過ごした。もう一杯頼もうと思ったが、熱湯で有名な銭湯「燕湯」にいこうと友達と約束をしていたので、きょうは諦めた。
 
銭湯に行った友達と、あまりの熱湯で逆に疲弊した身体を鼓舞しながら「彼女できた?」「いや…できてない」「ふーん」と、さして意味もない会話をしながら帰りの山手線に乗る。池袋で降りても「燕湯」の熱気が身体の中で滞留していた。
 
帰り道では、いつもの自販機でオロナミンCを買おう。